マラソン自己ベスト達成のポイント練習とは?
記録に挑むランナーの皆さん、こんにちは。記録更新のカギを握る「テンポ走」や「閾値走」について詳しく説明します。ランナーとしての経験とスポーツ栄養学・運動科学の知識を駆使して、あなたが次のレースで自己ベストを更新するのをサポートします。
マラソン練習の基本理念
簡単に言ってしまえば、マラソンの練習とは「効率よく長時間走れる体」を作ることです。そのためには、心肺機能を高め、筋力を強化し、体が乳酸という疲労物質をうまく処理できるようにする必要があります。これらの能力を高めるための訓練として「テンポ走」と「閾値走」が存在します。
テンポ走と閾値走:それぞれの特性と効果
テンポ走と閾値走、一見すると似ているようですが、それぞれ狙うべき効果と行うべきペースが異なります。それぞれの特性を理解し、適切に練習に取り入れることで、より効果的なトレーニングが可能になります。
テンポ走の特性と効果
テンポ走は、一定の強度(自分の能力の70-80%程度)で長時間(20分以上)走り続ける練習法です。これにより、心肺機能の向上や乳酸の処理能力向上をはかります。テンポ走を行うと、心肺機能が向上し、長時間、一定の強度で走り続けることができるようになります。
テンポ走の基本的なトレーニング方法
テンポ走の基本は、心拍数で強度を管理すること。自己ベストのマラソンペースより少し遅い、あるいはそれと同じくらいのペースで走ります。このペースは、一般的には「話すことができるが、歌うことはできない」程度の強度と言われます。
閾値走の特性と効果
一方、閾値走は、乳酸が体内で急速に蓄積し始める「閾値」のすぐ下の強度で走ります。これにより、乳酸の蓄積を遅らせることができます。つまり、閾値を上げることで、より高い強度で長く走ることができるようになるのです。
閾値走の基本的なトレーニング方法
閾値走のペースは、一般的には自己ベストのハーフマラソンペースと言われます。つまり、ちょうど「話すことが困難になる」程度の強度です。これは、1時間ほどの持久走が目標です。それ以上は乳酸蓄積が進みすぎてリカバリーに時間がかかります。
テンポ走と閾値走の違いを理解する
このように見てみると、テンポ走と閾値走は、練習の目的と走るべきペースが異なります。それぞれの特性を理解し、適切なバランスで取り入れることが、マラソンのタイムを向上させるカギとなります。
テンポ走と閾値走の相違点
テンポ走と閾値走の違いを一言で表すと、テンポ走は「長く持つため」、閾値走は「早く走るため」の練習と言えます。テンポ走は心肺機能を高め、一定のペースで長く走ることを目指します。一方、閾値走は乳酸が蓄積し始める閾値を上げることで、より高いペースで走れるようにします。
練習の強度と持続時間の違い
テンポ走は心拍数で強度を管理し、一定のペースで20分以上走ることが目標です。一方、閾値走は乳酸閾値のすぐ下の強度で1時間ほど走ることが目標です。これにより、より高い強度で長く走れるようになります。
自己ベスト達成のための適切な練習メニューの組み合わせ
これらの練習方法を適切に組み合わせて、最高のパフォーマンスを発揮できる体を作り上げましょう。ただし、これらの練習メニューは一概に全てのランナーに適しているわけではありません。各ランナーの現状のフィットネスレベルや目標に合わせて適切に調整する必要があります。
テンポ走と閾値走のバランスの取り方
テンポ走と閾値走のバランスは個々のランナーの目標やフィットネスレベルによって変わります。一般的には、テンポ走を週1回、閾値走を週1回行うのが一般的です。ただし、これはあくまで一例であり、各ランナーの状況に応じて適切に調整する必要があります。
レベル別の練習メニュー例
それでは具体的に、各レベルのランナーがどのように練習メニューを組み合わせるべきかを見てみましょう。ここで提案するメニューはあくまで一例ですので、自身の目標や体調に合わせて調整してください。
フルマラソン3時間切りを目指すランナーの練習メニュー例
3時間切りを目指すランナーの場合、週に一度のテンポ走と閾値走は必須となります。その他に、週に2~3回の軽いジョギングや週に1回の長距離走(30km以上)を加えると効果的です。
テンポ走のペース設定
テンポ走のペースは、マラソンペースの約90%で、心拍数は最大心拍数の70~80%を目安にしましょう。これは、自己ベストのマラソンタイムが3時間の場合、キロ4分~4分15秒/kmを目指すことになります。
閾値走のペース設定
閾値走のペースは、ハーフマラソンの自己ベストペース、またはそれより少し速いペースで、心拍数は最大心拍数の85~90%を目指します。これは、自己ベストのハーフマラソンタイムが1時間30分の場合、キロ4分以下を目指すことになります。
フルマラソン4時間切りを目指すランナーの練習メニュー例
4時間切りを目指すランナーも、週に一度のテンポ走と閾値走を行うことが重要です。また、週に2~3回の軽いジョギングと週に1回の長距離走(25km以上)を組み合わせると良いでしょう。
テンポ走のペース設定
テンポ走のペースは、マラソンペースの約90%で、心拍数は最大心拍数の70~80%を目安にしましょう。これは、自己ベストのマラソンタイムが4時間の場合、キロ5分30秒~6分/kmを目指すことになります。
閾値走のペース設定
閾値走のペースは、ハーフマラソンの自己ベストペース、またはそれより少し速いペースで、心拍数は最大心拍数の85~90%を目指します。これは、自己ベストのハーフマラソンタイムが2時間の場合、キロ5分以下を目指すことになります。
練習メニューを実行する際の注意点
上記の練習メニューを実行する際には、以下のポイントに注意してください。
自身の体調を確認する
練習を始める前に、自身の体調をしっかりと確認しましょう。疲労が溜まっている場合や、何か体調が優れない場合は、無理に練習を行うのではなく、休息をとることが重要です。
栄養と水分補給を忘れずに
長時間の練習や高強度の練習を行う前後は、十分な栄養と水分を補給することが重要です。栄養が足りないと、筋肉の回復が遅くなり、次の練習のパフォーマンスが落ちる可能性があります。
ウォームアップとクールダウンを行う
高強度の練習を行う前には、十分なウォームアップを行うことが重要です。また、練習後にはクールダウンを行い、体をゆっくりとリカバリーさせることが重要です。
まとめ
マラソンタイムを向上させるためには、適切な練習メニューとその組み合わせが非常に重要です。テンポ走と閾値走の適切な組み合わせを理解し、自身のフィットネスレベルと目標に合わせて調整することで、自己ベストを更新することが可能です。
それでは皆さん、次回の練習メニュー組成にこの記事の内容をぜひ参考にしてみてください。そして、日々の練習で、一歩一歩自己ベストに近づいていきましょう。何事も急がず、じっくりと自分のペースで進めていきましょう。
私たちは皆さんが自己ベストを更新する日を心待ちにしています。応援しています!
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